まんがの感想【同人女の感情/ジャン神・3】

 「アンチ」最終話ですが、解釈や受け取り方が人によってさまざまだと思います。

とりあえず何も考えずに読み進めて、「推しのGくんが死んだ」でクッソ笑いました

最後にこういうのぶっこんで来るか!と。

つい笑っちゃったのは、笑い事じゃないからです。

管理人は、基本的に活動範囲はゲーム原作だったので、ひと通りクリアしたりルートやり込んだりしてから二次創作していました。死ぬキャラは事前に把握して(笑)それにそった妄想創作をします。

ですが、リアルタイムの連載まんが・放映中のアニメで二次創作している人には「推しキャラの死亡」はジャンル活動の存続意義・二次創作の方向性の見直し、ともすると断筆と、非常に死活問題なのです。

「未来に生きてるキャラ」前提での妄想創作はできなくなります。
妄想は自由ですが、原作に矛盾するのは苦しいという二次創作のよく分からん律義さが出てますね。はたから見てると滑稽でしょうが、真剣に二次創作してるんですよ(真顔)

概要としては、
「アンチ」主人公の柚木は、更新されるたびにジャンルカプ全体を賑わす綾城という作家に対して嫉妬を募らせている。
そんな自分の黒い感情に気付き、創作意欲へと昇華していい作品を完成しみんなに読んでもらい称賛されることを原動力にキーボードを叩く日々。

あと少しで傑作が完成する。そう思っていたそんな中、自分の好きなキャラが最新話で死んでしまう。
失意のあまり創作意欲をなくす柚木。同様に沈黙するジャンル界隈。

そんな中、動きのなかったジャンル界隈にぽつぽつと「Gの死について前向きな気持ちになれた」といった類の感想が投下され始める。それは衝撃の最新話の後、やはり綾城がアップした二次創作作品に対しての感想だった。

また綾城なの?と柚木は思うが、一念発起して綾城の最新話を読み進める。
夜が明けて、そこには涙を流し悔しさをにじませながらも晴れやかに称賛の悪態をつく柚木がいた。

…これで終わりです。一応、作者さんのツイッター投稿→ 前編後編
これが賛否両論なんですかね?

これをそのまま読むと、「原作を超える二次創作をする綾城は神(笑)」みたいに見えるのかもしれません。二次創作をしたことないなら尚更です。

でも私は、この話の根幹はそこじゃないと思います。

綾城さんへ寄せられてる感想が「原作の死をこの作品で受け止めることが出来た」なので、「原作の展開を受け入れられなかった読者を、ただの同人作家の二次創作がそれを超える説得力を示しちゃった」ように見えるのかもしれません。そこは枝葉なので無視しましょう。

綾城さんという人がすごいのは、ジャンル界隈の誰もが目を背けてしまった「推しキャラの死」を、逃げずに向き合って二次創作に落とし込んだことだと思います

みんなに凄いと言われたい、という原動力で執筆していた柚木との決定的な差はここにあるのです。
彼女は原作の展開で折れてしまったから。(折れる事自体は悪いことではないです)

だからこそ、「やっぱムカつくな~」なのかな、と。
夜明けまでかかる文量は、片手間の執筆ではないことは明白です。

無駄に説明も語りもない幕引きが、読み手にどう感じさせるのか委ねてますね。

「綾城」というキャラは、どこまでも原作と真摯にストイックに向き合って活動していて、それもまさに「同人女の感情」な訳です。

そのブレないスタンスと「おけけパワー中島」の立ち位置も、描きおろしの部分を見るとそこが発起点だったのかなーと。(この感想は相方の弁ですが)

「創作するって苦しいけどやめられない」
そんな感情が沸き立つ作品だと思います。

二次創作に触れたことがないと理解は難しいかもしれませんが、オススメです。