キノの旅・2

そんな訳で「キノの旅」2019年の新作アニメの感想です。

恐らく、2003年制作のアニメを観た後でまた感想が変わると思うんですよね。
どうしても比べてしまうから。

いや、アニメ化するエピソードがかぶらなければ露骨に比較しないんですけど、
「コロシアム」「大人の国」「優しい国」は新旧どっちもアニメにしてるんだもの…。

仕方ない。だって特に「大人の国」「優しい国」、どちらも「キノの旅」の根幹と「キノ」というキャラを説明するうえで必要なエピソードであり「キノの旅」屈指の代表作ですからね…。

本当は個人的にエピソードはかぶらない方が良かったなぁ。
と、思ったので旧作の視聴はちょっと期間を置きました。

さて、視聴を始めてすぐに「ん?」と思いました。
「キノの声、めっちゃブギーポップじゃん!」

さすがにブギーは全18話ずっとイヤホンして聞いたので、この声色めっちゃブギーやん!とそっちが気になってしまいました。
飛びますがスタッフロールで確認したら中の人が同じだったので「やっぱりかい!(笑)」と心の中で叫びました。

いや、別に厳密にいえばキノちゃんはキノちゃんの演技をしているので、ブギーポップだった訳ではありません。ブギーは感情がほぼ出ませんが、キノちゃんはエルメスと軽口たたきあったりするし無感情なキャラではないので。

色んな役を担当すること自体は当然だからいいのです。悠木さんはデスマのアリサちゃんや鬼滅ならキリヤくん(まだアニメでは女子恰好)と、ショタ役にも定評のある実力派なお方なので。

でも、個人的に「電撃2大ボクっ娘」であるブギーとキノを同じ中の人にするのは…。
ブギー観たばかりだからなんか気になっちゃうだけなんですが(汗)。

全体的な感想は「キレイなアニメだなぁ」。
丁寧に制作されているのはすごく伝わってくるのですが、あんまり雰囲気がキノの旅っぽくないというか、引き込まれるような世界観という感じはなかったなぁ。

一通りのメインキャラが登場するエピソードを網羅していますが、個人的にフォトちゃんのエピソード必要だったかなぁ?…と疑問です。全12話しかないのに。
フォトちゃんで1話使うなら、他の話をやってほしかったです。

あと、「嘘つきたちの国」で展示されていたモトラドが喋るシーンがあるのですが、原作(イラスト本全部持ってます)だとモトラドは基本的に「少年声、高い声」と表現されているんですけどアニメではしゃがれた、疲れた老人声だった。
いや、年月を経て疲れ切った感じを出すための改変だと解っているのですが、モトラドは人間とは違うくくりの存在だという設定が無視されてるのが解せぬ。

基本的にモトラドは年を取るという概念は無いと解釈しています。人間とは精神構造が根本から違うから、「声を老人」にしてしまったのは世界観の表現においてミスチョイスだったかなぁと。(※中の人の演技力とは関係ありません。管理人の不満です)

そして、最終話がなんで「羊」なのか(笑)。

エルメスとキノの友情?と大立ち回りを〆に持ってきたかったのは分かるのですが…。ドカドカ弾き飛ばされる羊がシュールで面白かったけど、なんかコレでキノの旅終わっちゃうの?っていう感想しか出てこなかった。

何かグチばかりですね(汗)。

いや、黒星さんの挿絵や原作の異質な世界観・国ごとのロケーションの差異・地の文が演出する独特の話運び、その全てをアニメに載せることなど不可能なのは分かっているのですが、「ただキノという子がバイクに乗って旅するキレイなアニメ」という平凡な仕上がりになってしまったのが残念であり、限界なのかなと思います。

どなたかの感想にあったのですが、端的にいうと(表現は管理人ナイズされています)
キノちゃんは基本的にその国に(あまり)介入せず、国の中の出来事を傍観するスタイルです。
そこでどう思うかは読み手にお任せでキノちゃんの心情もあまり露骨に語られることがないのですが、アニメではそのスタンスを視聴者が理解する前に「コロシアム」「迷惑な国」「船の国」と連続でやってしまったのが…。バリ大立ち回り。冒険活劇じゃないから。

アニメ向けと言えばそうですが。フルート出したかったのかもですが。

黒星さんの最近の絵柄で、キレイなアニメーションになった点だけは、とても良かったと思います。

あと、「船の国」でシズ様(なんとなく様付けになるのは陸のせい)が刀を逆刃に構えていて、住人を傷つけないよう配慮していたのが良かったです。あと師匠の声も良かったです。めっちゃ師匠。

くどいですがフォトちゃんより、師匠と相棒やシズ陸ティーの話を増やしてほしかったなぁ。フォトちゃん出すのなら「渡す国」までやろうや…。

何も考えずに観るのなら、完成度は特に問題ないと思います。物語の取捨選択と構成も個人の好みだといえばそれまでです。「もっと観たかった」という感想が出るくらいがちょうどいいのかも知れませんね。

さて、2003年制作の方は、どんな感想になるのやら…。
それはまたいつか。